週刊OSM 435

2018/11/13-2018/11/19

State of the Map Asia 2018が開催され、世界12か国から参加者が集まりました。詳細はホームページで。Twitterのハッシュタグ#SotMAsia18にもいろんなツイートがあります。

マッピング

Dave Swarthout氏は全長290kmを超えるアラスカ州(アメリカ)のクック湾をマッピングしていたところ、マルチポリゴンで非常に大きな地物をマッピングするデメリットを発見しました。彼は多数のウェイをメンバーとして持つリレーションよりも簡単にマッピングする方法がないか尋ねています。しかし議論が進むにつれ内容が彼の質問から逸れ、レンダリングなどの議論に変わっていきました。長い議論ですがDave氏の質問には答えられていません。
OSMでは多言語対応をするための方法についての質問が多くあり、今までもそれらに応える最良の方法についての議論が行われてきました。オーストリアのメーリングリストではオーストリア国内にある種類の言語で書かれている道路案内標識についての議論が行われています。
Simon Poole氏はスイスの住所は半分がマッピングされたと推計しています。
Anton Khorev氏は地域によって建物の階数の数え方が異なるため、levelタグの値の取り方や解釈が難しいと言っています。彼は問題の内容を整理し、解決が簡単でないことを説明しています。
office=diplomaticへの投票が行われています。このタグは大使館、領事館、その他の政府間連絡窓口を区別するために外交の専門家や大使らによって精査されました。
Jukka Nikulainen氏は路面電車の軌道マッピング方法を提案しました。路面電車の軌道は道路に埋め込まれているものですが、基本的には道路オブジェクトとは別に描かれます。しかし、自転車乗りにとって軌道は危険な代物であり、どの範囲で軌道が道路に埋め込まれているのを把握することで、ルート検索に役立てることができます。
François Lacombe氏はパイプラインバルブへのタグ付け提案についてフィードバックを求めています。
インドネシアで Neighborhood Gateway Signs と呼ばれている門看板のマッピング方法をJoseph Eisenberg氏が相談しています。同様のものはポートランドやサンディエゴにもあるそうです。

コミュニティ

Pascal Neis氏は2017/11/17から2018/11/17の間で国ごとの平均編集者数をCSV形式で公開しました。彼のツイートによるとこれはosmstats.neis-one.orgで使っているデータだそうです。
チェコのOSMコミュニティアカウントはOpenStreetMap Česká republika z.s.の設立をツイートしました。この組織は14人のメンバーで創立され、将来的にOSMFの公式な地方支部となることを目指しています。初代理事としてTomáš Kašpárek氏、Marián Kyral氏、Jakub Těšínský氏が選出されました。
Jakob Miksch氏はOSMのデータモデル、タグ付け、編集、視覚化、ライセンスを説明するブログを書きました。ぜひビギナーマッパーに読んでもらいたい内容です!
OSMマリとOCHAマリが共同で、人道支援活動向けにOSMおよびGIS講習会を開催しました。
OSM Diariesが短いYouTube動画を公開しました。動画ではGregory Marler氏が10年前から現在にかけてOSMの編集方法がどのように変化したのか語っています。。
OSMベナンが女性社会学者向けにOSMマッピング技術講習会を開催しました。

OpenStreetMap Foundation

Rob Nickerson氏は4年前にOSMF理事会で決定した会費免除プログラムがまだ実施されていない理由を尋ねています｡
Paul Normann氏が11/15にOSMFメーリングリストで、OSMF会費免除プログラムを公式に発表しました。このプログラムにより、手ごろな送金手段がない人や、所得が低い地域の人もOSMFに加入することが可能になります。
11/8に行われたライセンスワーキンググループ会議の議事録が公開されました｡議題の一つにDMCAに基づく著作権侵害の申し立てを処理するためのポリシーがありました｡
現在無料で提供されているJOSMのサーバが、2019年に提供が終了します。ドイツのOSMF地方支部であるFOSSGISは、新規サーバー立ち上げのために資金を集めています。サーバが遅いといった問題もあるため、いずれにせよサーバ移転は必要です。
Michael Collinson氏はOSMF理事会選挙の候補者に対してコミュニティから集められた質問集を公開しました｡この質問集は7人の候補者たちにも送られ､11/30までに質問への回答とマニフェストを送るよう求めています｡
11月15日に開催されたOSMF理事会への感想をChristoph Hormann氏がブログ記事「これまでで最も超現実的かつ忘れられないOSMF理事会」にまとめました。組織的編集ガイドラインを骨抜きにした(とChristoph氏が考える)責任者の名前を出し、とある企業から提出されたガイドライン案が非公開とされたことを批判しています。
OSMFのデータワーキンググループはクリミア半島が現在ロシアに属していると判断しました｡この決定ではaddr:country=*の取り扱いや変更セットのコメントの要件を定めていて､以前の決定を置換えるものになります｡

イベント

SotMアジアが開催されました！世界の12か国から280名の参加者が集まり、OSMをコミュニケーションやマッピングやデータ可視化やその他諸々に活用するよう、熱狂と興奮と発表と討論とワークショップで埋め尽くされました。イベントに携わったすべての人に対して、大会組織委員会から感謝の言葉が述べられています。
大会のTwitterアカウントで発表のポイントや面白そうな画像を見ることができます。YouTubuチャンネルに発表動画がアップロードされる予定です。乞うご期待！
長年にわたって開催され、6000人以上の開発者が集まるFOSDEM 2019がブリュッセルで2019年2月2-3日に開催されます。ここ数年は地理空間用ソフトの専門セッションも開かれており、発表募集中です。
11月16日にナバーラ州立大学(スペイン)で国境なき医師団がマッパソンを開催し、カラカス(ベネズエラ)とニジェールのクライシスマッピングを実施しました。

OSM人道支援

Melanie Eckle氏が11月8日に行われたHOT理事会の議事録を公開しました。今回初めてHOTメンバー全員が聞くことのできる形式で行われました。
グアテマラでのマラリア撲滅活動でHOT社はオープンソースツールの活用を進めています。記事ではClinton Health Access Initiativeやグアテマラ保健省と協力していることが書かれています。室内残留噴霧法を実施するためのデータとして、これまでにエスクィントラ県で1600個以上の建物をマッピングしました。
CartONGと難民コミュニティSINGAグルノーブルが、少し変わったマッパソンを11月28日に開催します。ペアを組んでマッピングを実施することにより、意見や技術ノウハウの交換を進めます。

地図

OpenStreetBrowserが矢印などの記号表示に対応し、サイクリングルートマップや公共交通機関マップの進行方向表示などに使われています。"クリスマスマップ"も表示できます。

switch2OSM

ExpressionEngineのナンバー1モジュールを謳うGmapsは名前をMapsに変更しました。これはGoogleマップの無料枠縮小と料金の引き上げによって開発がオープンソース化され、OSMを含むいくつかの地図サービスが利用できることになり、名前からGoogleを引く計算をしてGmap – Google = Mapsとなったそうです。

ソフトウェア

自転車の経路プランニングウェブサービスcycle.travelの管理者Richard Fairhurst氏はサービスがスカンディナヴィアと東ヨーロッパの一部でも利用できるようになったと言っています。
現地調査用モバイルアプリStreetCompleteのGitHubリポジトリに付いたスターの数が1000を突破しました。

プログラミング

GISciense研究グループのGitHubには既に50以上のオープンソースプロジェクトが作られていますがまだまだ増加しています。そのほとんどは経路検索、データ処理、管理、分析、視覚化など何らかの形でOSMに関係しているものばかりです。
編集結果のアップロードを高速化する実装がテストされていて、iD、Potlatch、JOSMのそれぞれでテストに参加できる人が募集されています。mmd氏はテストの参加方法を英語で公開しており、ドイツ語が読めなくても参加できるようになっています。

リリース

Martijn van Exel氏は稼働中のMapRouletteをバージョン3.1.1にアップグレードしました。彼はユーザー日記でMapillaryレイヤーの追加、タスクの再構築、タスクチャレンジごとに用意されるリーダーボードといった新機能を説明しています。
Wambacher氏は引き続きOSM Software Watchlistを更新しています。最近更新されたソフトウェアにはNaviki Android 3.1810.1、Android版OpenStreetCam、Traccar Server 4.2やVespucci 11.2.0があります。
Potlatch 2はまだ開発が継続されていてRichard Fairhurst氏が2つの小さな更新をしました。

ご存知でしたか？

apps.meggsimum.deはOpenLayersを使った地図を作成して共有するサービスです。
ドイツのSchnöggersburgは、町を模した軍事訓練場で、Spiegel誌でも特集されました。ドイツ語フォーラムではこの地区のマッピング方法が話題になりました。

その他の “ジオ” な事柄

Doug Rinckes氏がgrid.plus.codesでPlus codeサービスを提供開始しました。Plus code(正式名Open Location Code)はGoogleが開発した位置指定方法ですが、OSM界隈ではよく炎上しています(GitHub, メーリングリスト)。
米国の居住地区開発や建物配置をいろんな視点で見た記事がNew York Times誌に掲載されました。建物だけを白黒で表示したfigure ground diagramを使い、全米スケールの表示から建物がくねくねに配置されたメサ市まで色んな視点での地図が掲載されています。なお地図の作成にはマイクロソフト社が公開した建物形状データが使用されています。ちなみにこのデータはOSMでも利用可能です。
自転車愛好サイトroad.ccではハンドルバーに設置するタイプのGPSコンピューターHammerhead Karooをレビューしています｡著者のDave Atkinson氏はこの機種はいくつかの欠点を持っているものの､現行のGPSコンピューターの中で最良の選択肢であると説明しています｡

まもなく開催

場所	名称	開催日	国
メルボルン	FOSS4G SotM Oceania 2018	2018-11-20-2018-11-23
リューベック	Lübecker Mappertreffen	2018-11-22
Alajuela	ES:State of the Map Costa Rica	2018-11-23-2018-11-25
マニラ	【MapaTime!】	2018-11-24
ダブリン	Monthly Mapping Party	2018-11-24
イヴレーア	Incontro mensile	2018-11-24
グラーツ	Stammtisch Graz	2018-11-26
ブレーメン	Bremer Mappertreffen	2018-11-26
アルロン	Espace public numérique d’Arlon – Formation Contribuer à OpenStreetMap	2018-11-27
Reutti	Stammtisch Ulmer Alb	2018-11-27
デュッセルドルフ	Stammtisch	2018-11-28
サンホセ	Civic Hack Night & Map Night[1]	2018-11-29
Tångstad	Foundation board elections discussion period opens	2018-11-30	–
南島原	南島原マッピングパーティ #1 「世界文化遺産『原城』をマッピングしよう！」	2018-12-01
トロント	Mappy Hour	2018-12-03
ロンドン	London Missing Maps Mapathon	2018-12-04
Praha – Brno – Ostrava	Kvartální pivo	2018-12-05
シュトゥットガルト	Stuttgarter Stammtisch	2018-12-05
トゥールーズ	Rencontre mensuelle	2018-12-05
ボーフム	Mappertreffen	2018-12-06
ドレスデン	Stammtisch Dresden	2018-12-06
Tångstad	Foundation board elections voting opens	2018-12-08	–
レンヌ	Réunion mensuelle	2018-12-10
リヨン	Rencontre mensuelle pour tous	2018-12-11
チューリッヒ	Jubilee Stammtisch Zurich with Fondue	2018-12-11
online via IRC	Foundation Annual General Meeting	2018-12-15
ハイデルベルク	State of the Map 2019 (international conference)	2019-09-21-2019-09-23